文章置き場

二次創作小説を記録しています。原作者、公式とは関係ありません。現在はWTを中心に上げています。R18作品はピクシブのみ。

白昼夢(wt烏出)

2019/7/17 0:36
とりいずSS完成しました。いかがわしいシーンがありますが、大した内容ではないのでR15という感じです。
白昼夢



その日、烏丸は次の授業が別教室であったため、蒸した空中廊下を歩いていた。
エアコンの効いた教室から出るのは、常に涼しい顔をした烏丸であってもうんざりするが、移動先も冷房完備されている事を思えば恵まれている方だろう。
じわじわと首すじにまとわりつく汗を感じていると、自分を呼ぶ声がした。
立ち止まって振り返ると、そこにはクラスメイトが汗だくで笑いかけてきた。拒否する理由もないので、そのまま一緒に会話をしながら歩く。
内容はたわいもない。今日の気温は30度で、明日も明後日もその蒸し暑さを天気予報が保証しているとか。悪く言えば中身がない話。
クラスメイトから、そういえば烏丸はこんなに暑いのに顔に出ないなと言われ、周りからもよく言われると返答する。
これでも暑さに参っていると言いかけた時、

おっ? 2年水泳やってんじゃん?

そう言って窓から見つめるクラスメイトに、烏丸も何気なく視線を追う。
じりじりと照りつく中で、上級生たちがプールサイドではしゃいで水に飛び込む姿が見えた。
もはや授業ではなく遊びになってしまっているのは、教師も了承済みであろう。あの水の冷たさに、真面目にやれというのは馬鹿馬鹿しいと烏丸も思う。
次の水泳はいつだったか。
ぼんやりと考えていたときだった。
よく知る金色の髪を見つけたのが。

-先輩。

出水は米屋とともにプールに浸かり、水の掛け合いをし頭を互いに押さえつけながら潜ったりと、傍から見て分かるぐらいはしゃいでいた。
あまり運動神経が良い方ではない彼には、水泳は楽しめる数少ない体育の一つである。
烏丸が離れた廊下からしばらく眺めていると、出水はプールから上がって水面上の誰かに声をかけた。おそらく米屋であろう。

それだけなら。
それだけなら、ただの授業風景だ。

烏丸の頭の中で、見てはいけないと警告が鳴った。

-もうすでに遅い。

金網越しに、出水公平の白い背中が視界に入った。運動に積極的ではない彼の白い色はよく目立つ。傷や痕も見当たらない。
それは烏丸がある時によく目にする姿。
そう、鳥丸だけが知る彼だけの特権。



ふいにまぶたが痙攣する。



-数日前の痴態を思い出す。



大きめのベッド、真っ白なシーツの上、裸の出水はうつ伏せの状態で枕にしがみつき乱れていた。
呼吸すらまともにできず、溺れるように悶える彼の姿を、烏丸は包み込むように両腕をついて見下ろしている。
お互いの汗や体液、飲みこぼした麦茶やらでぐちゃぐちゃに濡れて、気持ち悪いはずの感触が
肌に心地良すぎておかしい。
そう、おかしいのだ。きっと気が狂うとはこんな感じだ。優しく扱いたいとか、そんな甘い感傷は涙ぐんだ出水の瞳を見たらどこかへ行ってしまった。

「ねえ、先輩?」

ホントはもっと丁寧に扱いたかったんですよ。なのに、駄目なんです。先輩の肌に触れたら指先が吸い付いてそれに火がついて、あらゆる所に接触して声が聞きたくなってしまうんです。

先輩が俺だけに聞かせてくれる、その声を。

「聞かせてくださいよ、先輩」

どこか冷淡な、それでも欲のこもった掠れた声で愛しい人を呼ぶ。そのまま首に噛み付いた。
甘く噛みつかれて出水は言葉にならない言葉を発する。そして出水はかろうじて顔をこちらに傾け、唇の動きだけで、このやろうと呟いた。
まだ負けん気の強さはあったようだ。
後で散々文句を言われるだろうな、そんな事を考えながら、しっかり身体を押さえる。さらにどこにも行けない出水の耳たぶを丹念に舐る。

嬌声が上がる。耳に心地よい刺激。
そろそろこちらも我慢の限界だ。
いきますよ、と意識朦朧の出水に声をかけ、膝裏を持ち上げ奥に手を伸ばし-



あーあ。毎日水泳にしてくれないかねえ。

クラスメイトの愚痴が聞こえ。

そこでようやく烏丸は意識をこちら側に戻した。
だが、動悸が激しい。油断をすれば視界があの光景をちらつかせる。
乱れた金の髪。白い肌。噛みついた赤い痕。頑なな身体の動き。自分を呼ぶあやふやな甘い声。
烏丸は息を吐き出した。熱がこもっている気がする。これは夏のせいだ。そう言い訳したいのに、身体が全身で拒否をする。

お前は数日前、あの身体を味わっただろう?
そして今すぐむしゃぶりつきたいんだろう?

そうあの白い肌を見ただけで。

視界の出水は背をこちらに向けたまま、一向に気づく様子がない。

その事に安堵しながら、その事に苛立ちを覚えながら、烏丸は熱した窓越しに出水の後ろ姿を人差し指でなぞった。
そのまま指をくわえてしまいたくなる。思った以上に重症だ。

烏丸はクラスメイトに、教室で忘れ物をしたから取りに行くと嘘をついた。クラスメイトの方は何も疑わず、先生に伝えておくからとその場を離れた。
何も知らないその人に心を痛めたが、すぐさま持て余した身体を慰めるために歩き出した。

先輩が悪いんじゃない。
ただただ、この異常に戸惑っている。こんなに制御できない自分は未だかつて無い。冷静な表情で授業を受けるのは無理だ。どこで淫らな自分を解放すればいい?

耳元から首筋にかけて汗が流れる烏丸の側を生徒や教師が通り過ぎるが、誰もその邪な内面を察する人はいなかった。



というお話でした。テーマは未成年のエロスでしたが力不足でした。彼はその後どこで欲求を解消したんでしょうかね(読者に任せるスタイル)